トニー・シヴァーニが語ったのは、AEW Dynamiteファンの間で話題となった“ハングマン”アダム・ペイジによるモノマネ企画の裏側。そのエピソードの舞台裏には、リング上のユーモアだけでなく、ペイジの繊細なこだわりとリスペクトが隠されていた。
この企画は、ハロウィン特集として放送された回で実現。シヴァーニ自身も「最初は懐疑的だった」と語るが、ペイジの完成度に思わず脱帽したという。彼が明かしたところによると、アダム・ペイジは数週間も前から入念に準備を重ね、本人とも何度も打ち合わせを重ねていたらしい。
印象的なのは、ペイジのディテールへのこだわりだ。体型を再現するため、腹部にパッドを入れるなど細部まで徹底。これに対してシヴァーニは「俺そんなに太ってないぞ！」と笑いながらツッコミを入れたというやり取りがほほえましい。だが、そこですべてを笑いにせず、「いや、リアリティのためさ」と返すペイジの真摯な姿勢に、ベテラン解説者も心を動かされた。
さらに特徴的だったのは、シヴァーニ独特の“歩き方”を研究したことだ。ペイジは「あなたの歩き方を観察したい」と言い、控室の裏でそのフォームを真似しようとした。シヴァーニは「おい、老人みたいに歩くな！」と冗談を飛ばしたが、「実際俺も年を取ってるんだよな」と自身を笑う余裕も見せた。ペイジはまた、1995年に手術を受けた首の傾きまで完璧に再現。まさにプロレス版の“役者魂”といえる徹底ぶりだった。
アダム・ペイジといえば、激情と繊細さを併せ持つ職人派レスラー。その彼がシヴァーニという解説者愛に満ちた人物を忠実に表現したことは、AEWという舞台がいかに選手とスタッフの信頼関係で成り立っているかを示す証拠だろう。笑いの裏に、AEWのチームスピリットが確かに息づいているのを感じる。
リング外でも本気を見せた“ハングマン”アダム・ペイジ。こうした遊び心とプロ意識の両立こそが、彼がファンから愛され続ける理由だ。次はどんな形でファンを驚かせてくれるのか――“職人ハングマン”の次なる仕掛けに期待せずにはいられない！