ブラウン・ストローマンは、自身がNXTを経由せずにWWEメインロースターへ直行したことで、ロッカールームから強い反発を受けていた過去を振り返っている。ワイアット・ファミリーの一員として2015年にデビューしたブラウン・ストローマンは、多くのレスラーが通るNXTブランドでの下積みをほぼ経験せず、「いきなりRAWに現れた大型新人」として扱われた存在である。
インタビューの中でブラウン・ストローマンは、NXTでの実戦経験はダークマッチ1回とハウスショー3回ほどしかなく、そのままRAWに上がったと告白している。同時期にNXTをスキップした存在として、AJスタイルズ率いるユニット「The O.C.」のルーク・ギャローズやカール・アンダーソンを挙げ、自分たち4人だけが“黒金ブランド”を飛び越えた特例だったと語っている。
しかしこの「特別扱い」に見える経歴は、バックステージでの軋轢の原因にもなったという。インディー団体出身でもレスラー一家の二世でもないブラウン・ストローマンは、ビジネスの内部で育ってきたレスラーたちから「外から来たデカいだけの奴」「ポジションを与えられただけで、何も払っていない」と見なされ、露骨な反感を買っていたと明かしている。
いわゆる「代償を払っていない」という批判について、ブラウン・ストローマンは自分なりの“代償”を語る。WWE入り前はストロングマンとして世界を転戦し、車中泊をしながら遠征を続け、2011年には北米最強のストロングマンの座を獲得したこと、アーノルド・アマチュアにも参戦したことなど、リング外で積み上げてきた過酷なキャリアがあったと強調している。
つまりブラウン・ストローマンは、「プロレス村の外側」から来たからこそ、プロレス界の常識とは違う苦労と代償を払ってきたタイプのレスラーであるとも言える。だからこそ、当初は嫌われ者だった“外様の巨人”が、今ではWWEを代表するモンスターとして確かな地位を築いている現状には、ちょっとしたカタルシスがある。最初にロッカールームで「なんだこのデカブツは!」と眉をひそめていた面々も、今ではその怪物ぶりとプロ意識を認めざるを得ないはずだ。叩き上げではないからこそ見せられる成り上がりストーリー、そしてまだまだやれるフィジカルモンスター。ブラウン・ストローマンには、「代償はリングの上で全部返す」勢いで、これからもWWEのリングを豪快にぶっ壊していってほしいところである!