ジョン・シナ時代のラストと、“次のWWE”のスタートをトリプルHがハッキリ言語化した会見が行われた。WWEチーフ・コンテンツ・オフィサーのトリプルHは、ジョン・シナ最終戦となったグンター戦の結末に対するファンのブーイング、新世代としてのオバ・フェミ&ソル・ルーカの評価、そして会社の未来像についてまとめて語った。
まず、ジョン・シナのタップ負けに対して観客が激しく反発した件について、トリプルHは「もっと騒がれると思っていた」としつつも、ビジネスとしての“筋”を強調した。ジョン・シナがキャリアを通じて貫いてきた「この場所を良くして去る」という美学に沿えば、最後に誰かを“立てて”去るのは当然であり、グンターに勝たせるフィニッシュはシナらしさそのものだという立場である。批判は承知のうえで「ビジネスにとって正しいと思うことをやる」と、クリエイティブ責任者として覚悟も示した。
次に、トリプルHは今大会で大きなインパクトを残した若手として、NXT王者オバ・フェミとソル・ルーカを激賞した。オバ・フェミについては「スター性とカリスマを併せ持つXファクター。トップに立ったら長く居座るタイプ」と断言し、わずか数年前までリング経験ゼロだったことを踏まえて「この若者を止められるのか」とポテンシャルを絶賛。さらには“究極の破壊者”ブロック・レスナーとの比較まで語り、そのスケール感を示した。ソル・ルーカに対しても「完全に別次元のアスリート」と表現し、「彼女を見た瞬間に“ビジネスが変わった”と思わせる存在。ソル・ルーカはこの業界を変えてしまった」と、女子部門のゲームチェンジャーとして高く評価している。
全体として、トリプルHは今大会を「新時代の夜明け」と位置付けた。ジョン・シナという絶対的存在の“幕引き”と、オバ・フェミやソル・ルーカら新世代の“幕開け”が同じ一夜に並んだことで、WWEの世代交代が一気に加速した構図である。さらに、来年1月5日のNetflixとの節目とバークレイズ・センター大会を「新世代ローンチ」の起点とする構想も示し、メディア戦略と世代交代をセットで語っている点も印象的だ。
なお、ジョン・シナについては「WWEへの情熱は続くが、リングでのキャリアは今夜終わった」と明言しつつ、今年のラストランが完全にシナの意思に基づいたものだったこと、そして最後の試合も心から楽しんでいたと振り返った。会場記録を塗り替える動員も「ジョン・シナへのリスペクトの証」と強調し、「このビジネスで最も普遍的に尊敬されるパフォーマーの一人」と最大級の賛辞で締めくくっている。
ジョン・シナという“絶対的看板”の物語が一区切りついた今、グンター、オバ・フェミ、ソル・ルーカら新世代がどこまでWWEを引っ張っていけるのか。シナが残した「この場所を良くして去る」というバトンを、誰が、どんな物語で受け継ぐのか。ここからの数年こそ、プロレスファンとして“全試合チェック必須”の超重要フェーズである。シナのレガシーを踏み台に、新しいスターたちがどんな名場面を生み出すのか、しっかり追いかけていこう!!